砂漠で溺死

本と映画を、ネタバレ全開で書きます。

表現者とかって

お笑い芸人やら作家やらミュージシャンやら、夢を追ってばしっとつかむタイプの職業をやってらっしゃる方は30歳でも無職とか普通で、「おれは30にもなってなにをやっているんだ」ってぽつりぽつりと溢すそれらが(意識せずして?)かっこよかったりする。

いや、人間80年とまで言われる昨今、30歳なんて言ったらまだ半分以下のペーペーなのであって、そんな若造がちょっとぐらい芽が出なかったぐらいで人生悟った気になって「俺の人生ここまでか……」なんて弱音を吐くこと自体が生意気、てか不遜、みたいな意見もあるけれど、やっぱりその道は先がまったく見えないのであって、いつ晴れるのかわからない暗闇の中を何年も手探りで進むときの気持ちはいかほどか、考えてみると、彼らはものすごい。それだけで立派。

30歳の自分なんて未だ想像もつかない私の目には、目先のこまごまと山積しておる物物しか映らない。薄闇の中でぬくぬく這い進む芋虫の頭上に見える、修験者のような表現者たちの姿には、まるで別の生き物のような神聖さと、しかしその裏でたしかに溢されるひっそりとした嗚咽が耳についたりして、なんだかやっぱり畏敬、人の人生って何なの。